日常

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入学式当日。暁美は幼馴染みの俊哉と一緒に市立高校へと入学した。その入学式が終わり、それぞれが自由に帰っていっていた。 「やっと終わったね、暁美」 「そうね、面倒だったわ」 この高校に努力して受かった人がいるというのに、それを否定するような言い方に苦笑した俊哉。まぁ、俊哉と暁美は推薦で合格したので、あまり苦労はしていなかった。 「暁美はこれからどうする?僕は部活の見学に行くけど」 本当だったらこのまま暁美と一緒に帰るべきなのだが、どんな部活があるのか興味があったので、一応予定を訊いておいた。 彼女は自分がこの高校に行くと言ったので、自分も行くと言った。悔しいことに成績は充分良いので、推薦でなくてもよかったのだが、早く分かる、という理由で推薦で受けてみたら、見事に合格したのだ。 「曰く付きの桜」 この一言だけで、どこに行きたいのかが分かった。この高校には不思議な桜があり、何が起きるのか分からないという噂があった。暁美は神社の巫女候補なので、こういうのに興味があることが、長い付き合いである俊哉には分かってしまう。
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