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もちろん、暁美はただされるままにはなっているはずもない。
「舞を舞うことに一生懸命だったというのに、御老体はそれを責めるのですね。でも、御老体が何か集中していて誰かが見ていたのに気づくことが出来たら、御老体の事、尊敬しますよ」
にっこりと笑みを浮かべる暁美と、泣き落としをしていたので扇で顔を隠している晴明。孫娘と祖父による舌戦を見た成親は苦笑した。
「暁美、とりあえず落ち着け」
「分かりました。それで、兄上。どうして私だと分かったのですか?」
「百衣に緋袴の女性らしき人と聞いたからな。俺の知り合いでそういう格好をする人は1人だけだ」
百衣に緋袴。暁美にとっては巫女装束は昌親や成親がくれた布で作った衣装だった。もちろん、自ら作ったものだ。
「そうですか・・・行成殿はいつしろっていうんですか?」
「3日後、なんだが・・・」
3日後・・・。本当なら明日から貴船に行って禊をしたかったのだが、出来そうにない。しょうがない、延長しよう。
「分かりました、3日後、ですね?」
「いいのか?」
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