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3日後。藤原行成の邸でささやかな宴が開かれていた。
「・・・・・・」
暁美は巫女装束に着替え、片手に蒼穹を構えたままで庭を歩いたり、しゃがみこんだりしていた。
「一体、何をしているんでしょうねぇ・・・」
「さぁな」
暁美のやることをただ黙って見ている成親と晴明。何故か、今回は暁美の式神2人と玄武と六合がいる。六合は銀槍を構えているのが、2人の疑問だった。
「いいですよ」
ようやく準備が整ったようだ。
「では、お願いします」
行成の言葉に無言にうなずき、暁美は舞を舞う。
ただ舞を舞っているだけのはずなのに、儚さ故の美しさがある。ところどころで暁美の口が動いているのだが、何を言っているのかは分からない。分かる必要すらないだろう。
暁美1人で舞っていたかと思うと、いつのまにやら六合までもが舞うようになっていた。
「・・・なんとまぁ・・・」
打ち合わせでもしていたのか、2人の舞に一寸の狂いがない。背中合わせなのに、どのように舞っているのかが見えているかのようだ。
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