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また一つ、電車が通った。
その時、ふと背後に気配を感じた。
そしてそれと同時に肩に手を置かれた。
一瞬、來かとも思ったがそれにしては早すぎる。
先程電話がきた時は背後からバイクのエンジンの音が聞こえた。
だからまだ時間がかかるはずだ。
だとしたら、誰―――?
振り返ってみれば、そこには知らない男。
「………誰?」
「初めまして、捺夜遙。」
「何で、名前を…」
知っている、と続けようとした時いきなり口を塞がれかけた。
白い布で。
咄嗟に顔を避け、立ち上がる。
「ッ、テメェ…」
「あーあ、やっぱ抵抗しちゃう?」
「ったりめぇだ!何なんだ、テメェ!」
やばい。
こいつはやばい、と遙の中で警戒音が鳴る。
笑いながら男は喋っている。
だが…
目が笑っていない。
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