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香苗はだんだん、清花の真っ直ぐさが眩しくなった。
自分を理解してくれているのは清花だけだった。
香苗は自分が感情的なのはわかっていたが、感情的な人間に攻撃的な視線を向けるようになっていった。
清花以外には高慢にもこう思っていた。
いつも何でも人のせいにして。グズグズ言ってないで自分で解決すればいいじゃない。
人に聞いたって当てにしたって何も始まらないわよ。
特に香苗を良く知らない人間が自分の感情を彼女にぶつけると、今までの平常心が一気に沸点まであがることもあった。
それは、裏返せば彼女が一番出来なかったことだった。
何勝手にあたしのテリトリーに土足で入ってきて。
私はあなたに初めから何も求めていないわよ。
気安く私に気持ちを求めないでよね!
香苗の心はもうボロボロだった。
彼女は自分を守ることに必死で、自ら人を拒絶している今の自分は
もちろん助力など得られるわけもなく、
誰の為にも本気になれない人間になっているということに気がつかなかった。
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