小樽の家

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夜遅く、やっと小樽の家にたどり着いた。祖母が泣きながら出迎えてくれた。 沢山の人が集まっていた。奥の部屋に父がいた。 冷たくなって布団に横になっていた。顔は安らかだった。父は私達三人の兄弟と母に遺書を残しており、それぞれ遺書を手渡された。それを読んで私達兄弟は泣いた。天狗山で車の中で遺書を書いたらしい。 父は風呂場の脱衣室で首を吊って死んだのである。 踏み台にしたらしい台が壊れていた。その瞬間の父の苦しみを見せつけられる思いだった。 何故、父は死んだのか。理由は一つではない。会社の業績悪化、借金、でも引き金となったのは、信頼していた男の保証人になり、次の日にその男が夜逃げした事だ。社員への給料も未払いになってしまい、一番信頼していた社員が去ってしまった。 弟の遺書には「借金はしない事。絶対に保証人にはならない事。」と書いてあったそうだ。 父が自殺する前にはよく、黒い車が来ていて、大声で怒鳴りあう声が聞こえてきたらしい。 父は裏切られ、追い詰められていたのだ。 母は何をしていたのか?金策にあちこちの銀行を周っていたらしい。でも父が自殺するとは思わなかったようだ。
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