小樽の家

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父を裏切った男の事について書いておこう。 私はこの男をよく知らない。でもこの男の妻は良く知っていた。何故なら、その女は美容院を経営していて、その美容院をよく私は利用していたからだった。しかも成人式はその女の着物を借りて着たのである。私は何故か、その女が嫌いだった。本能的に嫌いなタイプというのがあるだろう。それである。何故か嫌いだった。 夢でその女の美容院を出て歩いていたら、車が私の目の前に止まり、なかには白い仮面を付けた気味の悪い男が乗っていた。私は恐怖と怒りで何かを怒鳴り付けようとするのだが、声が出ない。何度も叫ぼうとするのに声が出ないのである。そんな夢を見た事を父に言った事がある。父は笑って、変な夢だとかなんとか言っていた。
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