詩歌

2/10
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
人生を解くその瞳は、最後まで恋を解かなかった。僕の刺すような恋情の視線を、受け止めるというもっとも残酷な方法で、彼は処理して行った。 聖者は人間であることを否定した生き方を自分にも他人にも強いて行く。 雲間に光る月の淡い光が、僕の男の割に白い肌を照らす。 「先生…」 僕は一糸纏わぬ姿で、微動だにせぬ聖者然としたその体にしな垂れかかった。 「先生、抱いてよ…」 唾を飲み込む音が聞こえた。彼の鼓動が早くなっている。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!