可惜夜

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少しグラグラと揺れる梯子を上りきると、そこに彼女が膝を抱えて座っていた。 「こんばんは」 声をかけると、彼女は私に気づいて柔らかく微笑んだ。 「こんばんは。お客様が来るなんて初めて」 嬉しそうに、だけれど静かにそう言うと、彼女は少し横にずれて私の座る場所を作ってくれた。 そして、私がそこに座ったのを見届けると、また空を見上げ始めた。 私も別段何か話したいことが有るわけではないので、一緒に空を見上げた。
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