甘いキス

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くだらない質問をしてみた。 こんなことを聞いたからって、特に何かあるわけじゃないけれど。 なんとなく、気になったから。 クッションに寄りかかりながら本を読んでいた彼が、ゆっくりと顔を上げた。 「──どっちも」 そう答えた彼は、まるでどっちでも良いとでも言うようにそっけない。 私としては、どっちか答えて欲しかった。 だって折角質問したんだもの…… ちょっとふてくされた私は、意地悪を言ってみた。 「じゃぁ私たちのはキスじゃないね」 だってキスしても甘くないし、甘くならないってことはキスじゃない……でしょう? こんなことを言ったら、少しは反応してくれるかなぁって思った。 ……というか、少しは反応して欲しい。 そんなことを考えていると、彼がパタンと本を閉じて私に向き直った。 「……そうだねぇ、キスじゃないのかもね」 「…………」 私は無言で、彼の胸をグーで殴った。 「…………今のは痛いよ」 「痛くしたの」 胸を押さえながら不服そうにいった彼を睨みつけた。 私が期待してたのは、そんな反応じゃない。 その言い方だと、まるで私たちに愛が無いみたいじゃない…… ムスッとしながらうつ向いていると、 「はぁ……ちょっと待ってな」 大きな溜め息をしたかと思うと、立ち上がり様に私の頭をポンポンと叩いて、彼は台所に消えていった。
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