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「神様って、いないんですね」
翔ぶ前に、聞こえた言葉。
その声はとても哀しそうで、消えてしまいそうで……
でも、貴方の言葉は間違っていますよ。
だって神様はいるんですから。
ただ、本当の神様は私たちの思っているようなものと違っていただけ。
本当の神様はひねくれていて、意地悪で、
なにより人の不幸が好きなんです。
私と貴方を引き合わせたのは神。
私と貴方を愛し合わせたのも神。
笑ったのも、泣いたのも、怒ったのも、全てが神のせい。
そして、私たちが死ぬのも、スベテ……
今私が死ぬのはどうにもできない。
でも抵抗するくらいは出来る。
「恐く……ないですか?」
「……貴方となら」
今二人、手を取り合って堕ちてゆけば、それは神に対する最初で最後の抵抗。
堕ちていく中で、微笑みながら哀しそうに言った貴方の言葉は、深く胸に刺さりいつまでも耳に響いた。
『それでも私たちは生まれて、死んでいく』
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