第一章 追われる者

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戦いが始まって数分… 敵はだいたい倒し、残りは三人の兵と士気官の魔導士のみとなった。 「くっ……何たる醜態!たった二人相手にここまでやられるとは!」 騎士の方は大した事ないが魔導士はかなりの腕だ。 「どうするよ……士気官さん?退いた方がいいんじゃない?」 「うるさい!我々に失敗は許されんのだ!こうなったら俺が直接相手してやる!」 ワグナは何か腹をくくったように魔導書を取り出した。明らかに覚悟を決めた顔つきだ。 「なら、魔導の使い手同士で勝負しようじゃないか。おまえ、腕には自信あるだろ?」 アベルはワグナを挑発した。アベルの魔力が一気に弾け、羽織ったマントが重力に逆らってヒラヒラとなびく。 「良かろう!我が炎で焼き尽くしてくれる!」 ワグナも対抗するように魔力を弾き飛ばし、同じようにマントがなびいた。 「……と言う訳で騎士さん。残りの兵士達を頼む」 「承知した。それと……」 「…ん?」 怪訝そうに眉をよせるアベルに、エドは片手を上げて言った。 「…私の名はエド。『騎士さん』と言う名ではありませぬ」 「わかった。以後気を付けよう」
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