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戦いが始まって数分…
敵はだいたい倒し、残りは三人の兵と士気官の魔導士のみとなった。
「くっ……何たる醜態!たった二人相手にここまでやられるとは!」
騎士の方は大した事ないが魔導士はかなりの腕だ。
「どうするよ……士気官さん?退いた方がいいんじゃない?」
「うるさい!我々に失敗は許されんのだ!こうなったら俺が直接相手してやる!」
ワグナは何か腹をくくったように魔導書を取り出した。明らかに覚悟を決めた顔つきだ。
「なら、魔導の使い手同士で勝負しようじゃないか。おまえ、腕には自信あるだろ?」
アベルはワグナを挑発した。アベルの魔力が一気に弾け、羽織ったマントが重力に逆らってヒラヒラとなびく。
「良かろう!我が炎で焼き尽くしてくれる!」
ワグナも対抗するように魔力を弾き飛ばし、同じようにマントがなびいた。
「……と言う訳で騎士さん。残りの兵士達を頼む」
「承知した。それと……」
「…ん?」
怪訝そうに眉をよせるアベルに、エドは片手を上げて言った。
「…私の名はエド。『騎士さん』と言う名ではありませぬ」
「わかった。以後気を付けよう」
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