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「チィ……!」
アベルは服を焦がしながらヨロヨロと立ち上がった。
「無駄な抵抗は止めておけ。俺のエルファイヤーをまともに食らったんだ。立つ事も辛いハズだぞ」
「生憎、諦めが悪いタチでね。最後まであがかせてもらう」
と、アベルはもう一度、魔導書を構えた。そして言葉を続けた。
「…とは言え、今のままじゃあアンタの魔法に勝てない事は認めよう」
「……勝てないとわかっててなお挑むか……わからんな」
ワグナも魔導書を構え直した。
「ならば今度は息の根を止めてやる!エルファイヤー!」
ワグナがさっきの火球を放った。しかし、アベルは避けようともしない。
当然、火球はアベルに直撃し、当人を茂みの中まで吹き飛ばした。
「避けもしないとは……いや、避ける体力も残っていなかったのか…」
しかし、アベルは茂みの中から出てきた。
「ゲホッゲホッ!…ったく、人の話聞いてたか?俺は『今のままじゃあアンタに勝てない』って言ったぜ?」
「満身創痍の貴様に何ができる……?」
ワグナのその台詞に、アベルは笑って言った。
「おまえ、俺を雷魔導の使い手だと思ってたろ?」
「……違うとでも?今まで不得意な魔法で勝負していたとでも言う気か!?」
アベルは黙って頷いた。
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