第一章 追われる者

12/13
前へ
/88ページ
次へ
「ガハッ…」 ワグナが寝返りを打って仰向けになり、血を吐いた。 「今の食らって生きてるか……」 「安心しろ……もう動けん。しかし…古の闇魔法……まさか使い手がいたとはな…」 闇魔法……雷や炎とは違う負の力。他の魔法より遥かに難解で、使い手は少ないが、その威力は絶大。 アベルはその数少ない闇魔法の使い手だった。しかし、負の力を扱う闇は、他者からは忌み嫌われやすい。そのため雷魔法も習得し、身を守ってきたのだ。 「さて、俺にトドメを刺せ。失敗したんだ、どの道俺は………ア゙ッ!?」 ワグナが言い終わる前に首筋に当て身して気絶させた。 「悪いね。無抵抗のヤツにトドメを刺すのは嫌いなんだ」 「ク……ソ…が…ッ」 ワグナはそう言い捨てるとドサッと音を立てて静かに倒れた。 ちょうどその頃、エドが敵を片付けて戻ってきた。 「そちらも終わりましたね」 「ああ、この先でルーサ達が待ってる。急ごう」
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加