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「くっ……」
アベル達が立ち去った後、ワグナが目を覚ました。
当て身をされた首筋を押さえ、ゆっくり立ち上がり辺りを見回す。
「あの野郎……情けのつもりか?…舐めたマネを………………
しかし、せっかく拾った命だ。ネサロスに見つかる前にこの場から離れねぇと……失敗がバレたら俺は……!」
急いで立ち上がり、ヨロヨロと逃げるようにして立ち去ろうとした。…が、その時、ワグナの前に黒いマントを頭から被った男が立ちふさがった。
「ワグナ……何をしてる…?」
「!!…ネサロス……様…」
ワグナはその者の姿を確認した瞬間、冷や汗を流して退いた。
「なぜ、この場所が……?」
そう聞くと、ネサロスは空上を指で示した。
頭上には竜騎士が一人、飛竜を乗り回していた。
「よぉ、ワグナ。おまえの行動、上から一部始終見てたぜ?」
「貴様、レバン!」
竜騎士はレバンだった。
「貴様の勝手な行動と失態はヤツから聞いた。たった二人相手に小隊一つ壊滅とは、随分なやられようだな」
「も、申し訳ございません!二度とこのような失敗は…」
「二度と…?おかしな事言うね。我らは失敗は許されない。おまえ自身、もうわかっているハズだ」
「う、うわぁ…」
ネサロスの台詞にワグナは顔を青ざめた。
フードに隠された黒い瞳に、冷酷な表情が宿る。
「失敗は死をもって償え!」
「い…嫌だぁぁぁぁぁー…!!」
森に断末魔が響き渡った。
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