第一章 追われる者

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「くっ……」 アベル達が立ち去った後、ワグナが目を覚ました。 当て身をされた首筋を押さえ、ゆっくり立ち上がり辺りを見回す。 「あの野郎……情けのつもりか?…舐めたマネを……………… しかし、せっかく拾った命だ。ネサロスに見つかる前にこの場から離れねぇと……失敗がバレたら俺は……!」 急いで立ち上がり、ヨロヨロと逃げるようにして立ち去ろうとした。…が、その時、ワグナの前に黒いマントを頭から被った男が立ちふさがった。 「ワグナ……何をしてる…?」 「!!…ネサロス……様…」 ワグナはその者の姿を確認した瞬間、冷や汗を流して退いた。 「なぜ、この場所が……?」 そう聞くと、ネサロスは空上を指で示した。 頭上には竜騎士が一人、飛竜を乗り回していた。 「よぉ、ワグナ。おまえの行動、上から一部始終見てたぜ?」 「貴様、レバン!」 竜騎士はレバンだった。 「貴様の勝手な行動と失態はヤツから聞いた。たった二人相手に小隊一つ壊滅とは、随分なやられようだな」 「も、申し訳ございません!二度とこのような失敗は…」 「二度と…?おかしな事言うね。我らは失敗は許されない。おまえ自身、もうわかっているハズだ」 「う、うわぁ…」 ネサロスの台詞にワグナは顔を青ざめた。 フードに隠された黒い瞳に、冷酷な表情が宿る。 「失敗は死をもって償え!」 「い…嫌だぁぁぁぁぁー…!!」 森に断末魔が響き渡った。
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