第一章 追われる者

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エドはすぐに部屋を飛び出してシルカに知らせた。 「シルカ姫、どうやらヤツらに見つかってしまったようです」 「……そのようですね。狙いは恐らく私の持つ『欠片』……ですが、アベルさん達を巻き込む訳にはいきませんし…」 「時は一刻を争います。私がなんとかしますから、姫は裏口から…」 「何の相談かな、お二人さん?」 「「!!」」 突然、エドの背後の壁からアベルが現われた。 そしてアベルは壁に寄り掛かってニッコリしながら言った。 「話はだいたい聞かせてもらった。つまり、外の連中はそこの姫さんの持つ『何か』を狙って来てる訳だな?」 「……ええ」 「そいつは連中の手に渡ったらマズい物なのか?」 それを問うとシルカは沈黙した。 その代わりにエドが口を開いた。 「はい!ヤツらの手に渡れば国が……いや、大陸全土に危機が訪れるでしょう」 「……にわかには信じれんな……まぁいい。騎士さん、敵の数は?」 「暗くてよく見えないが、そんなに数はいないハズです。兵種は槍兵や戦士が多いように見えましたが…」 それを聞いてアベルを少し考え込んだ。 その時だ。 『エルファイヤー!』 ワグナの放った魔法が、爆音とともにアベルの家の玄関扉を吹っ飛ばした。
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