君だけ

―誘拐―

「････何喋ってるか分かんないけど、ガムテープ取ったら叫ぶだろうしいい子に寝ててよ」

そう言って口だけで笑うお兄さん。目は絶対笑ってない。

僕は必死で首を横に振った。案の定頭に響いたけど、この状況どうにかしたかったから。

「何？そんなに剥がしてほしいの？」

コクコクと必死でお願いすると、

「やだね。絶対叫ぶもん」

とテーブルに置いてあったコーヒーを口にする。

「そのまま１週間我慢したら解放してあげるよ。････あの世へね」

！？つ、つまり僕１週間後に殺されるってこと！？
今まで真っ当に生きてきたのに、なんでそんな！

じんわりと熱いものが込み上げてくる。
多分顔は真っ青だろう。

「ん～･･･ふぅ～･･･」

ボロボロと涙が溢れ出た。