―誘拐―

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僕はもうこれでもかってくらい頷きまくった。 それでもお兄さんは用心深く、ゆ~っくりと手を放した。 こ、怖いよこの人 未だに止まらない涙を必死に拭い、落ち着こうとする。 二人の間には何とも言えない空気が流れていた。 僕はそれに耐えられなくてお兄さんにこう言った。 「ぼ、僕を誘拐しても身代金は取れませんよ!!」 「・・・・」 お兄さんはナイフをしまいながら、こっちをジロッと睨む。 「俺が金に困ってるように見える?」 アホらし!と言いながら重い腰を上げ、僕の顎を人差し指でグイッと持ち上げた。 「俺は金なんか要らないの!!人の恐怖に怯える顔がみたいだ・け!」 最後にふうっと顔に息をかけ、お兄さんは部屋から出ていった。
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