180人が本棚に入れています
本棚に追加
僕はもうこれでもかってくらい頷きまくった。
それでもお兄さんは用心深く、ゆ~っくりと手を放した。
こ、怖いよこの人
未だに止まらない涙を必死に拭い、落ち着こうとする。
二人の間には何とも言えない空気が流れていた。
僕はそれに耐えられなくてお兄さんにこう言った。
「ぼ、僕を誘拐しても身代金は取れませんよ!!」
「・・・・」
お兄さんはナイフをしまいながら、こっちをジロッと睨む。
「俺が金に困ってるように見える?」
アホらし!と言いながら重い腰を上げ、僕の顎を人差し指でグイッと持ち上げた。
「俺は金なんか要らないの!!人の恐怖に怯える顔がみたいだ・け!」
最後にふうっと顔に息をかけ、お兄さんは部屋から出ていった。
最初のコメントを投稿しよう!