彼女とアタシ。(製作中)

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彼女はギターを弾いていた。 ピンクの淡い爪先。白いピックが映える細い指。 時折長い髪をかきあげて、あの綺麗な指先はアコースティックギターをかき鳴らしていた。 彼女はギターを弾いていた。 ~彼女とアタシ~ 水色の淡いカーテンが出窓に揺れる小さな喫茶店。 たった今この場で、好きでもなかった彼氏に振られたアタシはメンソールの煙草をふかしながらカーテンが優しい風に揺れるのをただ見ていた。 カーテンを透かして向こう側の蒼と白が、眩しいくらいに目に刺さる。 短くなった煙草を黄色い灰皿に押し付けてオレンジジュースをストローでカラカラと混ぜる。 透明な氷が光の反射を受けて、中でクルクル。ブリリアントなソレはまるで宝石みたいに、グラスの中で踊ってる。 「めんどくさい…」 昔から。 恋とか愛とかわかんないんだ。 人を好きになるって、どんなかんじなんだかわかんない。 好きなバンドがあっても別にその人達が好きなわけじゃないし。 勿論友達や家族は好きだけれど、恋愛なんてもってのほかで。 アタシの世界は井の中の蛙。狭い狭い箱庭がお気に入り。 大海に出ようなんて思わないわけで。
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