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薄桃色の桜の花びらが舞い落ちてくる駅のホームで電車を待ちながら、東野 彩香は腕時計で何度も時間を確認していた。
遅刻確定だな、彩香は思った。
「ごめんね、東野さん。私が待ち合わせに遅刻しちゃったから…。本当にごめんね…。」
しゅんとしながら何度も謝るのは、中田 優子。
今にも泣き出しそうな顔をしている。
彩香と優子は同じ中学出身で、互いに『顔は知っている』程度の仲だった。
今まであまり話したことがなかったのだが、たまたま同じ高校に合格したことがきっかけで仲良くなった。
穏やかな雰囲気の優子だが、実はかなりのスポーツ少女。
昨年の体育大会での活躍振りは彩香の記憶にも鮮明に残っている。
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