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『間もなく電車が参ります』
軽快な音楽の後、アナウンスが電車の到着を知らせる。
平日の昼、人が少ないホームに電車がゆっくりとやってきた。
並んでいた場所の目の前でドアが開くと、二人は少し重い足取りで電車に乗り込んだ。
乗る人が少ないせいもあってか、入って間もなくドアは閉まり、少しずつ電車は走りだした。
席はちらほら空いていたが、なんとなく立っていたい気分だったのであえて座らずに、しだいに加速していく電車の中、見慣れた景色が移り変わっていくのを何も話さずにただじっと見つめながら、二人はドアにもたれ掛かるようにして立っていた。
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