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大助は夜の街を歩いていた。
木にライトアップが施され、軽快な音楽が流れていていつもと雰囲気が違う。
そうか・・・そろそろクリスマスか・・・
ふと詩歌の事を思い出す。
詩歌はどうしているだろうか・・・元気にしているだろうか、ちゃんと食べているだろ・・・
「何を考えているんだ俺は・・・」
考えを振り切るかのように首を横に振る。
「あー・・・どうかしてるよ・・・帰って寝よう・・・」
ふと視界の隅に馴染みの顔を見つけた気がした。
だが、今は誰とも関わりたくなかったので そのまま通り過ぎる。
すると後ろから肩を掴まれた。
「何で無視するんデスカ カッコウサン 随分と冷たいデスネ」
あまりの力に肩が軋んでいる。
かなり痛いので作り笑顔で後ろを向き
「ごめん、気付かなかったんだよ 悪かっ・・た・・・」
そこには目を爛々と輝かせ、残虐な笑みを浮かべた霞王がいた。
「まあいいデス もうすぐクリスマスデスヨネ 楽しみにしておいてクダサイ。」
霞王の口がそう紡いだ時には さっきの残虐な表情はどこへいったのか満面の笑みに変わっていた。
「あ・・・ああ、楽しみにしておくよ」
可能な限りの作り笑顔でそう答えた。
霞王を背に向け歩き出した時にペッと吐き捨てたような声が聞こえたのは気のせいだと信じたい・・・
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