第1章 恋

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『ただいま~っ お母さん お金ちょうだい~』 「また?何に使うの?」 『自転車パンクしたから なおしにいくんですーだっ』 「あんたね…最近パンクだのカゴがへっこんだだの、ちょっと自転車の使い方乱暴なんじゃないの?だいたいね……」 『も~っいいからっお金!!私 急いでるの!!』 「もう、次おかしくしたらお小遣いから引くからね!!」 『わ~かったから!!』 私は今日も自転車屋さんへ行く。 私の自転車がパンクしたりするのは、使い方が乱暴だからではない。 だって、わざと だから!! 『すいませーん、あの…自転車パンクしちゃったんですけどー…』 「はいはーい」 彼に… この小さな自転車屋さんの青年に 会いたかったから。 「あぁ、また君?よくパンクするんだね。」 『えぇ…まぁ…』 「俺のなおし方が悪いのかなー」 『いやっ 全然そんなことないです!!むしろ、直してもらった後の乗りごこちは最高なんでっ!!』 「そう?ならいんだけどさ」 『はいっ もう最高ですからあ!!』 「ぶっ 君かわってるね」 『えっ』 「いや、話してて面白い」 『ほんとに!?』 「うん、俺自転車なおすことしかしないから、結構 退屈なんだよね」 『そ、そっか』 「うん、あ、今なおすから そこ座って待ってて」 『うん』 やっぱり素敵だ。 キレイな白い肌にキレイな黒い髪。 あぶらで黒くよごれた肌さえキレイに見える。 それに汗もキレイ。 とても純粋そうな見た目なのに、言葉遣いはあまり良くない。 悪いってわけでもないけど… 「はい、自転車」 『ありがとう、 あのさ また来てもいいかな?』 「ダメに決まってんじゃん」 『えっ…』 「もうパンクさせんなってこと!」 『あぁ そうだよねっ!!』 「うん、名前なに!?」 『えっ 私!?』 「そう 君」 『中沼 美鈴…』 「ふーん ちなみに俺はひろゆき!!」 『よろしく…』 「おう また来いよ」 『きていいの?』 「もちろん!! 自転車パンクさせなくたって来ていいぜ?」 『えっ…』 これがひろゆきとの出会いだった。 私がわざとパンクさせたこと知ってたんだね。 恥ずかしいけど、でも、こんなことがあったから、仲良くなれたんだよね?
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