第1章 恋

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私は、2組にちょこんと顔を出した。 2組にはひろゆきしか、知り合いと呼べる人がいなかったから、ドアから ちょこんと顔を出すくらいしかできない…… 『あっ』 窓側の真ん中らへんに、ひろゆきを見つけた。 名前を呼ぼうとした時に、声をかけられた。 「みーすずっ」 『奈々っ おはよ』 「おはよっ 何してるの!?2組の前でさ!!」 声をかけられて、びっくりしたけど声をかけてきたのは、親友の奈々。 私の数少ない友達のうちの一人。 『ちょっとね…』 「人探してたりとかしたの?」 『う~ん、まぁね』 「えっ 誰? 女? 男?」 『それわ…』 私は横目で、2組の中にいる ひろゆきを見た。 その瞬間、私はガバッと目を見開いてしまった。 ひろゆきが女の子と話してる… 私の知らない子と… なんだろう、この腹立たしさは… なんだろう、この悔しさは―。 「ねぇ美鈴 それわ… がどうしたのっ?」 奈々が興味深そうに聞いてくる… 私は自分の感情が顔に表れないように、必死にこらえた。 口に力を入れて、手を握りしめて。 『それわ… あとでいいまーすっ』 「もうっ 気になるじゃーん」 『今日 家帰ったら電話するから!!』 「放課後まで待つの?」 『もちろんっ』 「じゃあ絶対だからね!!」 『うんっ あ ちょっとトイレ』 やばい やばい やばい 悲しいわけないのに 涙が出そうになる 【嫉妬】 頭の中にその文字が浮かんだ。 嫉妬? まさか、なんのために? だって女の子と話してただけじゃん。 それに私ひろゆきの友達なだけだから… 分からない。 自分が分からない。 一体 私は何がしたいの!? 何を求めてるの? 何度考えても、今はやっぱり分からなかった。
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