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私は、2組にちょこんと顔を出した。
2組にはひろゆきしか、知り合いと呼べる人がいなかったから、ドアから ちょこんと顔を出すくらいしかできない……
『あっ』
窓側の真ん中らへんに、ひろゆきを見つけた。
名前を呼ぼうとした時に、声をかけられた。
「みーすずっ」
『奈々っ おはよ』
「おはよっ 何してるの!?2組の前でさ!!」
声をかけられて、びっくりしたけど声をかけてきたのは、親友の奈々。
私の数少ない友達のうちの一人。
『ちょっとね…』
「人探してたりとかしたの?」
『う~ん、まぁね』
「えっ 誰? 女? 男?」
『それわ…』
私は横目で、2組の中にいる ひろゆきを見た。
その瞬間、私はガバッと目を見開いてしまった。
ひろゆきが女の子と話してる…
私の知らない子と…
なんだろう、この腹立たしさは…
なんだろう、この悔しさは―。
「ねぇ美鈴 それわ… がどうしたのっ?」
奈々が興味深そうに聞いてくる…
私は自分の感情が顔に表れないように、必死にこらえた。
口に力を入れて、手を握りしめて。
『それわ… あとでいいまーすっ』
「もうっ 気になるじゃーん」
『今日 家帰ったら電話するから!!』
「放課後まで待つの?」
『もちろんっ』
「じゃあ絶対だからね!!」
『うんっ あ ちょっとトイレ』
やばい
やばい
やばい
悲しいわけないのに 涙が出そうになる
【嫉妬】
頭の中にその文字が浮かんだ。
嫉妬? まさか、なんのために?
だって女の子と話してただけじゃん。
それに私ひろゆきの友達なだけだから…
分からない。
自分が分からない。
一体 私は何がしたいの!?
何を求めてるの?
何度考えても、今はやっぱり分からなかった。
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