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第1章 恋
それは小さな自転車屋さん。
ある日パンクをした自転車を直してもらおうと、その自転車屋さんを訪れた。
自転車屋さんって私のイメージだと おじいさんがやってる感じなんだけど、その自転車屋さんに入った時、私のイメージがどれだけ小さいものか と思った。
おじいさんになるには、まだ何十年も先になりそうな青年が2階から降りてきた。
「いらっしゃい、パンク?」
言葉が出なかった。
この目の前にいる心のキレイそうな青年と、話していいものなのかと…
「ありがとうございましたー」
まともに会話をしないまま、私はぼーっと自転車屋さんを出た。
それから、わけもわからず、ただ自転車を漕ぎたくなった私はもうスピードで家へと帰った。
この勢いなら、上り坂だってぐんぐん登っていける。
それから、私は自転車に傷をつけては、自転車屋さんを訪れるようになっていた。
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