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『リアル』と『フェイク』の差って何?
「……もういい、わかった」
そう呟いた影は安西直人。
崩れかけた壁の頂上に、太陽を背負う形で佇んでいた。
逆光を背負う直人は、その崩れた廃墟の一辺から見下ろし、手にはライトが装備されたソーコムピストルと、担ぐよう構えるデザートイーグル。
そのあべこべな二つを用いて、射殺すようなオマケ付きの瞳が『敵』をただ睨む。
「あ、……あん、ざい?」
そう呟くは我王院優妃。
彼女の纏うは華やかであったであろう紅く美しいドレス。
だが、所々が擦り切れ汚れ、さしずめその姿は魔法が解かれたシンデレラか。
その優妃の姿に、分かってはいてもやりきれない怒りが直人の奥歯を軋ませる。
「お前らがそういうのであれば、俺も俺なりにやらせてもらう」
そう言った直人は、ソーコムを構え直し、優妃が見たことのない『安西直人』がそこに佇む。
見惚れても怖い、まるで血に飢えた夜叉のように、
そして――、
「俺は今から、『ルール』を辞めるぞ」
そう凄む直人の頭に――生えるネコミミ、背越しにゆらゆら揺れ、見え隠れするしっぽが無ければ完璧だったのだが………、
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