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拾った携帯から『お嬢様』
「あんたなんか、あんたなんかにあたしの気持ちなんて!!」
――パシン。
ヒステリックに叫んでいた女の子に、向かい合っていたもうひとりのメイドさんがビンタ。
静かに凍る空気から始まるこのお話は、
ぶたれた女の子ではなく、
ましてやぶったメイドさんが主役ではない。
その場の背景になりかけな、ムンクの叫びよろしくな両手に頬を当て固まっている一人の一般庶民。
何を隠そうこの男こそがこのお話の主役で、今現在の火付け役になった。
後に彼は語る。
「交番ってのは何故近くにはないのかなぁ?」
そしてこれが始まりとなる。
普通でありながら、普通ではない運命が――
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