初めに

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私の友達、中井琴音に『音色、先生にみとれてたでしょ?』と軽くツッコミを言われた時、我に返った。 『はぁ?そんな事あるワケないじゃん。23歳ってウチらより6っこも上ってありえんしっ。』って否定したものの正直私は、先生に見とれてしまってた。 ソレを琴音に悟られたくなくてヒタすら平然を装った。 先生は顔のパーツも整っていて鼻が凄く高くて横顔が格好良かった。 私が琴音とお喋りをしていると、先生が私の席に近づいて来るのが分かった。 私は先生を直視出来ず、急いで教科書の問題を解いた。すると私に『桜井さんだよね?何処か分からない問題ある?』と先生が話しかけてきた。 私の心臓はドキッと音を立てた。 うっ…何?何で話しかけられたぐらぃでドキッとしてんの?相手は先生なんだし、生徒に話しかけるのは普通でしょ? 頭の中ぐちゃぐちゃで、私は『大丈夫です』と先生に言うので精一杯だった。 明らかに私の態度が変だと気付いた琴音は何か言いたそうな目で私を見ている。 そんな琴音の視線を気付かないフリをして私は、ヒタすら数学の問題を解いた。
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