一章

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 現在、俺は同じ大学に通う二人の友人と安い居酒屋に飲みに来ている。  「啓介フラれてかんぱーい」  今回の飲みの口実はこれ。  ああ、啓介って俺のことね。  で、俺がまたフラれたことがそんなに嬉しいのか凄い笑顔でビールの注がれたグラスを高々と上げているのは俺の幼馴染みの明だ。  その隣でクスクス笑ってんのが鈴だ。  お前も俺がフラれて嬉しいのか?  「まあ、飲め」  二人の笑顔のせいで若干気落ちしてると、明がどんどん酒を進めてきた。  「いいな~。あたしも飲む~」  鈴がビールに手を伸ばそうとしたのでグラスを取り上げた。  「お前はまだ未成年だからダメ」  俺と明は4月生まれなんでもう成人だから良いの。  「啓介のケチ」  拗ねた顔をこちらに向けて愛らしい大きな瞳を俺の方に上目遣いで訴えてくる。  あまりの可愛いらしさに心が揺らいだが、ここで飲酒を許す訳には行かない。  「啓介、お前頭固すぎ」  明まで何言ってだ。お前の彼女だろ?大切にしなきゃ。  「ダメなものはダメ、いけないことはいけない。トーゼンだろ」
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