一章

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 あんな苦しそうにしているのに頼れるはずの夫は来ないし、それじゃあ不安だろ。見捨てれないさ。  いやまあ、手を握ってあげたのはやり過ぎだったか。  「とにかく、それをずっと見てた彼女がアンタは私より人助けの方が好きなんでしょ、って言って走り去られて音信不通早一ヶ月」  がっくし。  やべー、話してたらまた悲しくなってきた。  歩ちゃーんカムバッーク。  「で、昨日遂に別れ話の電話がありサヨナラと。カナリどんまい」  明は笑顔のまま俺の肩をバシバシ叩いてる。  あー、ヤメテクレー。  「人助けはこれに懲りて自制すんだな」  俺の性格上絶対無理な助言ありがとう。  「でもさ、歩ちゃんと付き合うキッカケも人助けじゃなかった?」  鈴は俺と歩チャンの馴れ初めを覚えてたらしい。  うん、天然なだけのことはあってくだらんことは良く覚えてるな。  あれは今年の初め、いつものようにこいつらと連るんだ後の帰り道に夜の道で泣いている歩ちゃんと遭遇。  どうも、フラれてしまい帰りの途中堪えきれず泣いてしまったらしく、あまりに可哀相だったんで一晩中付き添ってあげた、というか勝手に一緒にいた。
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