一章

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 「吊り橋効果で惚れられても終わりは早いな」  つか、それ以外でモテた記憶がない。  「けど俺としては下心があって助けた訳じゃないし」  「あたしも初め惚れそうになったし、けど気付いたね、自分だけに特別じゃないって」  鈴も高校のときから付き合いだが俺に惚れそうだったのか、いやいや明にゾッコンだったじゃないか。俺も随分手伝ってやったもんだ。  ん、ソレが原因か?  「よし。俺が間違っていた。下心ないとか言って助けた女と付き合うようじゃ駄目だ。俺は愛される男じゃなく、愛する男になる」  今まで下心を持って助けたことなんて一度ないけど、やっぱ感謝されて好いてくれることが嬉しかったから、つい甘えてしまったんだ。  俺は尽くす男だ。  甘えてくる女を優しくしても惚れさすなんて言語道断だ。  「よっしゃー、明日も社会に、いや世界に貢献するぞー」  よし、元気が出た。  明日は早起きして町内のゴミ拾いするぞ。  「お前って損するタイプだよな」  「あはは、頑張れー。手伝わないけど応援するよ」  二人の、いや、一人の声援と一人の忠告?を受け俺は明日に備えて帰宅した。
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