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「あっ、みーっけた」
光が嬉しそうに笑いながらいった。その声に気付かない2人は黙々と歩いていた。
「光ちゃんキーック」
と光が言いながら牙にはやらず彰に向かって右足を上げた。
‐ドカッ‐
綺麗にヒットすると彰は「あっ」と言いながら倒れた。
‐バタン‐
すると牙が彰を見下ろしながら……いや見下しながら声のした方にゆっくりと顔を向けた。
「ブハハハハハハ。あっ、だって、まぢうけるんですけどー」
と気色悪い言葉遣いで言った。……牙は、「うざっ」と言いながら歩きだそうとしていた。その時……。
‐ガシッ‐
牙は前に行きたくても行けない状態になった。……何故かと言うと倒れていた彰が牙の足をつかんでいた。牙は不機嫌そうに「放せ」と言い殺しそうな目で睨んでいた。
「まっ、待てって」
更に睨む牙。そんな事は無視して言い放つ彰。
「良いぞ、光」
いきなり意味不明な事を言い出した彰を睨んだ後、彰が見ている方に顔を向けた。……そこには助走であろう距離に立っている光がいた。光は手を高だかとあげて言った。
「黒龍高校2年、天魅光、いっきまーす」
と言った瞬間に高だかと挙げていた手を下ろし凄いスピードで牙に走ってくる光。それを確認するかの様に見た後、牙は左足を掴んでいる彰に視線を向けると彰の腕を見た瞬間……。
‐グシャ‐
と言う音を出しながら彰の腕が牙の左足から外れた。彰は「いってえええー」と叫びながら続けて言った。「無茶すんなー、折れてねえーな」と言った彰は牙を恨めしそうに睨んだ。――光はと言うと……。
「えっ、嘘、ちょ、嘘だと言ってえー」
と挙動不審になりながら走っていく光。標的が近くなったとたん振っていた腕を顔の前でクロスさせると勢い良く飛んだ。
「光ちゃんジャンピング、クロスチョープ」
と叫びながら牙に向かって行った。光は覚悟を決めた顔をしていた。
‐バキィ‐
鈍い音をたてながら落ちていく光。そう案の定、光は牙に顔面を殴られていた。
‐バタッ‐
光は、「痛い痛い痛い、顔がちょー痛い」とふざけながら言っていた。内心は「まぢいてえー」だと思うが……。
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