204人が本棚に入れています
本棚に追加
そんな様子を横目で見ていた牙は「アホらし」と言いながら制服の上着にある胸ポケットから『PALL MALL』と書かれた箱と龍が描かれかれている銀色の物を取り出した。
ガサゴソと聞こえた光と彰は振り返って牙を見た。気付かない牙は口に煙草をくわえて前に入るカップルを見て眉間に皺を寄せて不機嫌な顔をしてつっ立っていた。光と彰が牙の見ている方を見て「ああー、なるほど」と小声で言っていた。
光は自分の上着の制服に手を突っ込んで風神が描かれているジッポライターを取り出して牙に近づいて……。
‐ジュポ‐
と火を付けて右手を牙の肩に回して胸辺りをポンポンと叩いて火のついたライターを煙草に近づけた。
「…………」
‐ジリジリジリジリ‐
無言のままだった。――火をつけるために空気を吸うように煙を吸い込んだ。そんな様子を見ていた光は珍しく真顔で言った。
「牙のせいじゃねえーて、牙のせいだつー奴がいんなら俺と彰でフルボッコにしてやっから、な」
「おう、任せとけ」
「…………」
何の事か分からないて。その内やるから安心しろ。
.
最初のコメントを投稿しよう!