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「うぜえ」
乱暴に光の手を振り払って言った牙。……友達が折角、気をきかして言った言葉をたった3文字で片付けた牙だった。そんな様子を見ていた光と彰は少し笑って言った。
「ひでえー」
と2人揃って言った。でも光と彰には分かっていたんだと思う。少しだが牙の表情が嬉しそうになったのが――勘違いかもしれないけど……。その時、光がぶざけて言った。
「牙、アレだよ、アレ、硝子のハート?」
「意味分かんねえーよ」
そう呟いた彰だった。――しかし、それを聞いていた牙は右手で煙草を持ちながら左手の拳を固め光の頭を殴った。
‐ゴツッ‐
凄く鈍い音を出した。光は殴られた部分を撫でながら言った。
「何だよー、硝子のハートが気にくわなかったあー、ならーライオンハートは?」
とふざけながら呑気な声をだして言った光だった。彰は光の言葉が理解できずに繰り返した。
「ライオンハート?」
首をかしげながら光に問いかけた彰。光はニコニコの笑顔で言った。
「うんライオンハート、意味は、えーと、えーと、えーと」
「分かんねえーなら良いわ」
光は意味を考えていたんだか記憶の引き出しを探していたのか分からないが、そんな様子を見ていた彰は呆れた様に言い放った。そんなことを言われた光は「もーちょいで、出てくるから、マッポいて」と彰に言うと右手の人差し指の横ばらと親指のはらを顎に置いて探偵気取りをしていた。「マッポいて」と言われた彰は、言われた瞬間回りを見渡した。そして光に「マッポ何処いんだよ」と言っていた。そんなことを耳に入れないで考えている光だった。そんなやり取りを聞いていた牙は彰を横目で見ながら言った。
「マッポじゃねえーよ」
と棘がある言い方をした。彰は、「えっ、どういう意味?」と訪ねてきたけどスルーした牙だった。そんな牙にしつこく聞こうとする彰だった。
「どういう意味だよー、……なんとか言ってよー」
と光とはえらい違いではれ物を触るかのように接している彰だった。牙は「めんどくせえー」と言いたそうな顔をして前を見ながら言った。
「馬鹿に聞け」
「馬鹿」とは光の事である。彰は苦笑いを浮かべながら首筋を掻いた。
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