ポワゾンダブリル

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 妖怪とか、妖精とか。 いままで子どもの世界にしか居なかった連中が、西暦2000年をこえた辺りからドラ○もんのかわりにこの世へ登場するようになってから、もう何十年も経っているらしい。  ゆうべ職員室に忍び込んで、カップ麺と煙草と、ついでにスポーツ新聞をちょろまかした時、新聞の見出しにナントカ党の大泉純二郎と、第三層世界の高位妖精が握手してる写真がでかでか載ってたのをちらっと見たのを、ふと思い出した。  全国の高校で、情操教育の一環とかいう理由から、低級妖精を生徒一人ずつが一匹ずつ飼育する義務が始まったのが、何年か前らしい。  もっとも、俺はこの歳になるまでまともにガッコーへ来てなかったので、そんな事になってるなんて全然知らなかった。  低級妖精は実体が無く、たいして賢くもないから餌をやったりプライバシーを覗かれてどーこートラブる可能性もない。 ただ、高校入学と同時に『卒業まで付き従う』という契約をさせられて召喚された低級妖精たちは、その契約どおり、『卒業まで』は主である生徒にずっと引っ付いている。  「…知ってりゃ、高校なんて入学しんかったのになぁ……」  体育館倉庫の中で昼飯後の一服をしながら、俺は、頭の上をチョロチョロ飛んでる天使型妖精の『トーマ』をため息まじりに眺めた。  手のひらサイズのトーマは煙草の煙が嫌なのか、手に持った盾を扇ぐようなそぶりを見せて、しかめっ面を俺に向けている。
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