ポワゾンダブリル

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 低級妖精で人型なのは、結構レアらしい。  たまたま用もないのに校舎をぶらついてたら、なんだかマニアックらしい連中や、女子連中がキャ~キャ~言いながら写メを撮りまくってきたので、数人フルボッコにしたあと財布を巻き上げなら確認したら、そんな話が出て来た。  まあ、何に使うのか物騒な鎧と槍と盾を持って、背中には白い翼があって、見た目もアニメちっくな顔立ちだから目立つのは間違いなさそうだ。  「これで、マニアに高く売れるってなら、文句言わねぇんだがな」  と、言った途端トーマが槍を俺の目の前で振り回した。  怒ったようだ。  実体があるなら、速攻でハタキ落としてやるとこなのにそれもできないのが余計に腹が立つ。  しかも、このトーマには困った特技がひとつあるのだ。  "アタシを売っちゃうなんて、アンタやっぱりサイテーのゴクツブシよ!"  制服のポケットに入れたケータイから、甲高い『トーマの声』が響く。  トーマは、どういう訳だかケータイのデータとプログラムを使って喋る事ができた。  知能がそれほどないはずの低級妖精のくせに、この困った特技のせいで、俺の貴重な憩いの時間(朝9時から夕方6時まで)にしょっちゅう邪魔が入るようになってしまったのだ。  "せっかく第六層世界に召喚されたのに、こんなボーリョク男と三年も一緒に過ごすなんて、アタシの不幸ここに極まれりね"
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