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「……真!夢真!」
身体を揺すられ、俺は夢と現実をさ迷っていた。
「夢真!!いい加減に起きろ!授業は終わってんだぞ!」
なかなか起きない俺に痺れを切らしたのか、本格的に俺を揺すり始めた。
「……起きるから、そんなに揺するなよ。亮介」
俺はまだ眠たい目を擦りながら、身体を起こした。
亮介はこの大学で知り合った友達だ。
………友達。
俺の中で、亮介の存在はもう友達以上になっている。
俺はいわゆる同性愛者というやつだ。
女の子に興味がなかったわけではないけど、好きになるのはいつも同性だった。
そのこともあって、俺は地元の大学ではなく、遠く離れたこの大学に入学した。
自分の気持ちを伝える気は始めからなかった……。でも、最近、恭介への想いがどんどん強くなる。そろそろ自分の気持ちを抑えているのも限界を感じる。
「今日はどこに行く?」
恭介は俺の複雑な想いに気が付くこともなく、いつもの変わらない笑顔を俺に向けてくれる。
「そうだな……」
それはいつもの日常と変わらずに過ぎていく。
あの日までは…。
久しぶりに俺は亮介と飲みに行き、終電を逃した亮介は俺の部屋泊まることになった。
途中のコンビニで酒やつまみを買って、俺の部屋で二次会が始まった。
「夢真…お前、好きな奴とかいないわけ?夢真ってあんまり浮いた話ってないよな……」
「いるよ……。俺、恭介が好きなんだ……」
酒の勢いもあって、俺はつい、自分の気持ちを伝えてしまった。
「……えっ!?」
一瞬、時が止まる。
一度溢れてしまった想いはもう止めることはできなかった。
「俺は亮介が好きだ……」
その後、亮介は何も喋らずに黙々と自分に注がれた酒を飲んでいた。
俺は亮介のその反応見て、もう亮介の関係が終わってしまうことを実感していた。
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