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言われたことを理解するのに時間がかかった。
「夢真?」
「俺も……」
亮介への想いが溢れてくる。もう、自分の気持ちに嘘をつかなくてもいいことがわかって、会いたい気持ちが溢れてくる。
「俺も、恭介に会いたい…」
知らない内に俺の目からは涙が溢れていた。
俺達はよく一緒に課題をしたときに使っていたファミレスで待ち合わせをした。
俺ははやる気持ちを抑えて、そのファミレスへ向かった。
ファミレスは恭介の家より俺の家の方が近いため、俺は恭介より早く到着した。夜も遅いせいか人は疎らで、カップルか学生くらいしか店内にはいなかった。
俺は恭介が来たら、すぐ分かるように窓側の角に座った。
飲み物を注文し、じっと窓の外を見つめ、恭介を待っていた。
恭介が横断歩道を挟んだ歩道に見えた。あと、数メートル。
あと、数メートルで恭介に会える。
歩行者用の信号が赤から青に変わる。
恭介が俺に気付き、手を振る。
俺も手を振り返して、恭介が来てくれたことに知らず知らずに頬が緩む。
次の瞬間、俺の視界から恭介の姿が消えた。
「恭介……」
思わず、立ち上がる。
路上が騒がしくなる。俺には何が起きたのか分からなかった…。ただ、人だかりができ、遠くでは救急車のサイレンの音が聞こえていた。
恭介は即死だった。
赤信号を無視した大型車が恭介に突っ込んできたのだ。
こんなことになるなら、自分の気持ちなんて、伝えなければ良かった。そうすれば、こんな遅くに会うこともなかったのに…ずっと友達のままでいられたのに…。
どうして、俺は望んでしまったのだろう。恭介の傍にさえいられれば、友達でも十分だったのに…。
ずっとずっと、俺の頭の中では後悔の想いしかなかった。
俺は恭介の最期の笑顔が頭から離れなかった。
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