愛の罪と罰

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愛の罪と罰

愛してる なんてワンセットの単語に納められる感情で 全てを終わらせてしまうの   肩を抱き寄せて耳元で囁くのが わたしと気づいてますか?     今まさしく隣であなたの恋人を犯す惨劇を       愛してるけど大嫌いなんて よくある矛盾     逃げ惑う愛を犯してみても 何一つ変わらないのに 何故簡単な仕草で 上辺の空洞は埋められてしまうのか     私を愛するという あなたはわたしが 瞳に映ってることさえ 気付いてない     わたしにその手を汚させて   つまり わたしにその手で触れて   キスした唇はどちらのもの     まるで見えないガラスの中のお花みたいね   なにも 欲しくはない そう信じて生きているけど   五月蝿い街 騒がしい人 見慣れた顔 隣に立つ君 二人分の私     足跡は消えた わたしはいない   愛を犯しては身を慰める日々 失うものはないかわりに 手に入れるものもない 古くならないけど 新しいものも視界に映らない 世界は止まったまま わたしを犯す   間違いなんていくつもあるから だから ひとつくらいおおめに見てくれてもいいでしょ   つまり わたしを許して     わたしはいない わたしもいない 誰もいない あなたは誰を愛したの 愛されたのは誰         犯されて壊されて殺されて それでも愛したいの わたしだったのに   愛してる 愛してる あなたを愛してる
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