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犬人間
あたしの色が褪せていく
緑の瞳に手が這う
白い肌 包んだ金の糸は
連なって あなたまで 運んでくれないかしら
容易い金額で陥落したご主人様
もう一度 あたしだけ
楽園へ招待<サラ>って
路傍の雌と目が合う
雄は自分の事しか眼中に無い
あんたあたしとおんなじだね
わかってるわ
そのオトコにくいつぶされてるんでしょ?
あたしは唾を吐いて
ご主人様の汚い腕に戻る
それがご大層な人間様の摂理さ
尊守されるべき 愛 はドコデスカ
身近には見当たらず
この街を出て裸になれば
見付かるかしら そんな訳ないわよ
解っている
だからも少しあなたに
抱かれていたい
爪を休めないで
苦い唾を飲み込んで挨拶
時代には逆らえない
あたしは犬じゃない
睦み合う都会の白と黒の中で
出逢った
これが運命なんて呼ばれる日が来るなら
野良犬の駆けて行く
後ろ姿を恨むわ
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