花とこたへて消えなましも

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雲   一滴の雨   頬を伝って まるで涙みたいだね と   見えもしない盲目の少女は 笑って言った   悲しいかい と問うた声を   あたたかい   と返した彼女はどこまでも 雲の続く空のように 笑っていた   迷路   出口は見えない 誰もいない   ずっと ずっと   ひとりぼっち   あの空から見下ろせば 僕らの位置もわかるんだろうか   寂しい   苦しい   ずっと続いていく   怖い   安心   どっちも持ってる   雲が流れていく 消えそうに霞んでいく 逃げたい でも逃げられない 僕らはずっとここにいる 動けない 動かない 実はとっても一緒なこと   どこ 消えていくの わからないよ きっと一生 僕らには わからないから生きていける ことはそんなに少なくない   それでも少女は ずっと 花のように暖かく わらっていた
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