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三千世界で烏が哭く
あなたは美しいばかりのひとだと思っていた
あなたは強いだけのひとだと思っていた
あなたは可哀想なひとだと思っていた
わたしはあなたを識らなかった
あなたは酷く汚い人だった
あなたは酷く脆い人だった
あなたの醜さを知った
あなたの弱さを知った
ただ それさえも眩しく映るほどにあなたはわたしの理想だった
病めるときも健やかなるときも
あなたはいつだってわたしの理想だった
わたしはあなたを妬んだ
僻んだ
嫉んだ
憎んだ
可哀想なのはわたしだった
述懐
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