『ユウキ』

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真新しい制服に包まれた春。 まだ着馴れてないせいか、 全然似合ってない。 これから、どんな人と出会うんだろう…。 期待に胸を膨らませ、 私は新しく通う学校へ歩いて行く。 素敵なスクールライフになるのかな? 友達出来るかな? 「ユウキ~!!」 後ろから、私を呼ぶ男子の声。 男友達がいない私には、 ちょっと不思議な感覚で、 恐る恐る後ろを振り返る。 「おぅっ!コウタロウ!!」 「一緒のクラスだといいなっ?!」 「どうせ、同じ部活だろ~?」 仲良さそうに、男子が二人、 肩を並べて歩く姿。 なんだ。 『ユウキ』って、私の事じゃなかったのか…。 紛らわしいなぁ。 私は、二人の男子を、そのまま気にも止めず、 新しい学校へと、 足を進める。 暖かな日差し。 これから、どんな事が待ってるのか、 私はただワクワクしていた。 中学校の頃の友達は、少ない。 ガリ勉の私には、 なかなか友達を作るのは苦手で、 控え目で、大人しい性格。 本当は、そんな私は、 私じゃない。 いつまで、私は殻に閉じ籠もったままなのかな…。
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