結城と祐希

2/16
前へ
/377ページ
次へ
アタシ、結城香那(ユウキカナ)。 「ゆうきぃ~!!」 いつも、そんな風に誰かに呼ばれると、 私は振り返る。 「あぁ~、何だよっ!」 だけど、返事をするのは、 工藤祐希(クドウユウキ)。 高校生の頃。 この工藤祐希と同じクラスになってしまったばっかりに、 私は同じ名前に戸惑わされていた。 進学校の高校だが、トップクラスの学校ではない。 本当は、トップクラスの学校を狙っていた私だったんだけど、 トップクラスで下を行くより、 一つランクを落とした学校を選ぶと、 その学校では上にいれるから、 大学の推薦とかにいいって、 親の薦めで、何となくこの学校を選んだ。 だからか、私の成績はいつも上位に位置し、 同じクラスの友達には、 よく分からない勉強を教えたりしていた。 「ねぇ、結城さん。ココ教えて欲しいんだけど…。」 私の名前は『香那』だったけれど、 みんなは私を名字で呼ぶ。 「いいよ、ドコかな??」 工藤祐希は下の名前、ユウキと呼ばれるので、 私と工藤君は、 よく授業中、 「ユウキ!この問題を解いてみろ。」 と、先生に言われると、 どっちを呼ばれたのか、 本当に分からなくなる時があった。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1340人が本棚に入れています
本棚に追加