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「えっ、や、その…。」
工藤君に、そう言われて、
私は返す言葉が見つからない。
「俺、練習終わって、
急いで香那ちゃん探したのにっ!!」
えっ?
工藤君の、その言い方は、
あの約束が、本当だったって事?
「ごめん、工藤君。
あれから仕事を終わらせたら、
すぐに終わったから…。」
もっともな言い訳をする私。
工藤君の練習が終わるのを待っているつもりではいた。
だけど、きっと、一時間近くの時間の間に、
私は、工藤君を期待して待っている事なんて出来なかったはず。
待っていても、
私は先に帰ってたかもしれない。
「アイツ、ひつこそうだったから、
俺、助けてやったのになぁ~。」
工藤君は、わざとらしく私の前で、
独り言のように呟いた。
「あっ、それはっ!
ありがとうっ!
助かったっ!
助かりましたっ!!」
助けてもらった分際で、
私は、置き手紙だけを残して帰って行ったんだ。
「じゃあさ、
俺にも勉強、教えてよっ!」
助けてもらった引き換えって事?
「う、うん…。」
まただ。
胸の高鳴りが、スゴい。
ドキドキしてる。
「前みたいに、ノートも写させてよ!」
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