1340人が本棚に入れています
本棚に追加
洒落た格好もした事ないし、
最近の流行りにはめっぽう疎い。
控え目な私には、
麻奈美の言葉は嘘だと決めつけていた。
「香那ちゃん、眼鏡、コンタクトにすればいいのにぃ~!」
麻奈美は、そう言って、私の顔を覗き込む。
こんなに茶化された事がない私は、
「いいよぉ、別にっ!
今さらコンタクトにしても恥ずかしいもんっ!」
投げやりな言葉を吐く。
コンタクト、実は、親が買ってくれたんだ。
去年のクリスマスに、
親からのプレゼントとして、
コンタクトレンズは家にある。
家に帰ってからとか、
休みの日にコンタクトをする練習だって、
何度もしていた。
だけど、学校には恥ずかしくて、
眼鏡を外せずにいた。
「えっ?香那ちゃん、コンタクト持ってんの?!」
「…う、うん。」
恥ずかしそうに答える私。
「今度、コンタクトにして来なよぉ~!!」
麻奈美と、そんな話で盛り上がったものの、
私は、断固、コンタクトなんかしないって宣言していた。
この眼鏡を外してしまえば、
私が工藤君の姿を追うのが、バレてしまう。
この眼鏡は、
私にとっては、
自分を防衛する手段なんだ。
最初のコメントを投稿しよう!