結城と祐希

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そんな勉強だけが取り柄のような私には、 高校時代、特別仲がいい友達が出来ずにいた。 女子のグループが何個かある中に、 私はドコにも所属せず、 とは言え、みんなから嫌われる存在でもなく、 日々を過ごしていた。 一年生までは普通科だったので、 それで、それなりに楽しくしていた。 二年生になると、 大学進学の為に、細かく選択科目でクラスが別れ、 私は理数科に進む事になった。 クラスが変わったら、 理数科だからか、 男子の人数が余計に増え、 女子の人数の少ない男子クラスになる。 それでも、工藤君とはまた同じクラスになり、 名前の聞き間違いはしょっちゅうあった。 「なぁ~、ユウキ。」 私は、声のする方を振り向く。 「お前、昨日、コクられてなかった?」 クラスの男子が、工藤君に話す会話を耳にする。 へぇ。 コクられてたんだ…。 モテるんだ、工藤君。 「あ?あぁ…、あれねっ。」 ダルそうに答える工藤君。 「んだよ、お前、もしかして、振った訳ぇ??」 「んなの、どうでもいいだろっ!!」 答えたくなさそうにしている。
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