結城と祐希

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いつも、教室で、『ユウキ』って名前を耳にすれば、 私はその、声のする方を振り向く。 だから、いつも、工藤君と友達の会話のやり取りを、 私は盗み聞きしていた。 「ねぇ、結城さん。塾とか行ってるの?」 女子が少ない人数だと、 一年生の頃より、友達と呼べる人が増えた。 「ううん、行ってないよぉ。」 私は、上位の成績を維持させる為、 みんなの知らない所で頑張っていた。 家にいる私と、 学校にいる私とのギャップは、 かなりあった。 バンッ!! 激しく弟の部屋のドアを開ける私。 「ちょっと、タカヤッ!!  あんた、人の雑誌を勝手に持ってかないでよっ!!」 そして、学校では見かけない、私の本当の言葉遣い、態度。 「何だよっ。リビングに放置してあったんだから、いいじゃんっ!」 ベッドに寝そべって、私の雑誌を読む一つ下の弟。 「今から、読もうと思ってたんだからっ!!」 ズカズカ弟の部屋に入り込み、 私は弟から雑誌を取り上げる。 「んだよぉ~!!ケチッ!」 「何で、女の子の雑誌なんか読むのよっ!!」 「彼女の好みを知ろうと思ってねぇ~!」 は? 彼女? 弟は、私とは違う高校に通っていた。
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