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カシェは、校門に留まっている少年だった。
いつの頃から其処にいるのか、ミトには覚えがない。
赤地に白の水玉のフレアーのワンピースを着て、朝から下校時間まで、校門の地べたに座り込んでいる。
水玉のワンピースは、夏至祭の時に、彼が演った劇の衣装だ。劇中、ストレートのセミロングのカツラを付け、笑顔で演じる彼は、本物の少女のようだった。
ミトは、その劇を講堂で観ていた。
それは、正気だった彼の最後の姿だった。
その劇の後、カシェは衣装姿のまま行方不明になり、ようやくマンションの一室で見つかり保護されたのは、八日も後の事だった。
其処で何が起きたのかは、わからない。しかし、彼らと同じ学校の生徒が数日後、医療院送りとなった。
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