第1話 序章

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  ―『退屈』。 その言葉が、俺の脳内を ただひたすらに去来している。 俺の名は 獅堂 剣次(しどう けんじ)。 職業、高校生。学力、下の下。 身体能力、中の上。彼女なし。 成績が低いだけの、平凡極まりない単なる学生だ。 俺の脳内はここ最近、ずっと『退屈』という言葉で占められている。 「…何か起これー…。」 思わず、恨めしそうな声色が出てしまう。 それほど、俺は『退屈』に支配されているのだ。 「…腹減った。何か喰うか…」 瞑っていた目を開け、空腹を埋めるために台所に向かった。 することがないとは言え、流石に腹は減るものだ。 「…ハァ…コンビニ行くか。」 いつもならカップ麺が詰まっている棚が空。 …つまり、食料がないのだ。 気だるいため息を吐き出し、俺は中身の少ない軽い財布と部屋の鍵を手に自室から出た。 「っあ゛~…寒ぃい…!!」 肌を刺すような寒さの夜空の下、片手にカップ麺が詰まったビニール袋を下げ、自室への帰路へついた。 …全く、自炊とはこうも面倒なものだったとは思わなんだ…。 俺の通う高校は寮がある。 実家が遠いため、俺は寮生活を余儀なくされているのだ。
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