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―『退屈』。
その言葉が、俺の脳内を
ただひたすらに去来している。
俺の名は 獅堂 剣次(しどう けんじ)。
職業、高校生。学力、下の下。
身体能力、中の上。彼女なし。
成績が低いだけの、平凡極まりない単なる学生だ。
俺の脳内はここ最近、ずっと『退屈』という言葉で占められている。
「…何か起これー…。」
思わず、恨めしそうな声色が出てしまう。
それほど、俺は『退屈』に支配されているのだ。
「…腹減った。何か喰うか…」
瞑っていた目を開け、空腹を埋めるために台所に向かった。
することがないとは言え、流石に腹は減るものだ。
「…ハァ…コンビニ行くか。」
いつもならカップ麺が詰まっている棚が空。
…つまり、食料がないのだ。
気だるいため息を吐き出し、俺は中身の少ない軽い財布と部屋の鍵を手に自室から出た。
「っあ゛~…寒ぃい…!!」
肌を刺すような寒さの夜空の下、片手にカップ麺が詰まったビニール袋を下げ、自室への帰路へついた。
…全く、自炊とはこうも面倒なものだったとは思わなんだ…。
俺の通う高校は寮がある。
実家が遠いため、俺は寮生活を余儀なくされているのだ。
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